「ゴキブリは寒さに弱いから冬は安心」と思っていませんか?実はそれ、大きな誤解かもしれません。秋口に侵入したゴキブリが現代の暖かい建物や家電環境の中で冬を越し、繁殖してしまうケースが増えています。
ゴキブリの気温と寒さへの反応を解明した研究結果から見えてきた、冬場でも安心できない理由とは?そして、どのような対策が必要なのか?この記事で詳しく解説します。
![ゴキブリは寒さに弱いが、最近の建物は冬でも暖かい](https://gclean.jp/wp-content/uploads/2024/12/article-image_003-300x300.png)
ゴキブリの寒さに対する反応と耐性の研究
1972年、三共株式会社農薬研究所は、ゴキブリ4種(チャバネゴキブリ、ワモンゴキブリ、クロゴキブリ、ヤマトゴキブリ)を対象に、寒さが生存や成長に与える影響を調査しました。
実験では、ゴキブリを4つの温度環境(27℃、20℃、15℃、5.5℃)に置き、それぞれの発育段階(卵、幼虫、成虫)ごとに生存率や発育の変化を観察しました。この研究により、ゴキブリの寒さへの反応や耐性の違いが明らかになりました。
研究結果: ゴキブリの寒さに対する反応と耐性の違い
実験の結果、ゴキブリの種類によって寒さへの耐性が大きく異なることがわかりました。それぞれの種の特徴を以下にまとめます
1. チャバネゴキブリ (Blattella germanica)
•耐性: 寒さに非常に弱い。
•生存率: 5.5℃では40日間以上の生存が難しい。
•特徴: 室内環境に依存しており、冬場は暖房の効いた建物内でしか活動できない。
2. ワモンゴキブリ (Periplaneta americana)
•耐性: チャバネゴキブリと同様に低温に弱い。
•生存率: 5.5℃では短期間のみ生存可能。
•特徴: 温暖な地域で活動が盛んだが、冬の寒冷地では生存が難しい。
3. クロゴキブリ (Periplaneta fuliginosa)
•耐性: 中程度の耐寒性を持つ。
•生存率: 5.5℃で60〜90日間生存可能な場合がある。
•特徴: 活動が止まった後も温暖な環境に戻ると再び成長が進む。
4. ヤマトゴキブリ (Periplaneta japonica)
•耐性: 最も寒さに強い。
•生存率: 5.5℃以下でも90日以上生存可能。
•特徴: 日本固有種で寒冷地に適応しており、冬場も屋外で生存可能。
全体の傾向
•共通点: ゴキブリ全般は15℃を下回ると発育がほぼ停止し、5.5℃以下では活動が完全に止まる。
•種の違い: 耐寒性の強さはヤマトゴキブリ > クロゴキブリ > ワモンゴキブリ > チャバネゴキブリの順。
「これらの結果は、三共株式会社農薬研究所が行った研究に基づいており、詳細は以下のリンクから確認できます。」
ゴキブリは寒さに弱いのは間違いないが、現代はもはや安心できない
研究結果では、ゴキブリは15℃以下で発育が停止し、5℃以下では活動が完全に止まることがわかっています。しかし、「冬の間はゴキブリがいないから安心」と思うのは危険です。秋口までに室内へ侵入し、そのまま家の中で見つからずに生息している場合、現代の建物や家電環境がゴキブリの活動を支えるためです。
秋口の侵入が冬場の問題に繋がる
ゴキブリは秋口まで外を彷徨い、食料や暖を求めて室内に侵入することがあります。一度侵入してしまうと、発見されない限り、家の中で生息し続ける可能性があります。特に、現代の住宅環境はゴキブリにとって生存・繁殖が容易な条件を整えています。
冬でもゴキブリが生息・繁殖する理由
•家電製品の温かい隙間: 冷蔵庫のモーター部分や電子レンジの裏側など、家電の内部は常に電気が通り、温度が15℃を下回ることがほとんどありません。ゴキブリにとっては最適な隠れ家です。
•建物の断熱性の向上: 現代の住宅は断熱性や気密性が高いため、外気温が低くても室内はゴキブリの生存に適した環境が維持されます。
•地下構造の影響: 地下の建物や低層階では地熱の影響で室温が高く保たれ、暖房がなくてもゴキブリが生息できる環境を提供します。
冬場でも駆除依頼が多い理由
実際に、冬の一般家庭からのGCleanへのゴキブリ駆除・対策依頼は少なくありません。秋口に侵入したゴキブリが、室内で繁殖し続けるケースが多いためです。冬だからといって油断するのではなく、侵入経路の遮断や定期的な清掃を徹底し、問題を未然に防ぐことが重要です。